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2012年11月07日

まちづくり講座「まちを支える ひと、もの、ことを考える」

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市制施行90周年記念 第23回まちづくり講座、「まちを支えるひと、もの、ことを考える」が五稜郭タワーアトリウムで11月7日(水)行われました!全国で活躍する建築家やコミュニティーデザイナーと呼ばれる著名人お二人をお招きしての講演会。とても有意義な時間を過ごすことができました!

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基調講演のお一人目は株式会社ワークヴィジョンズ代表の西村浩さん

○まちを支えるモノ・ヒト・コト
右肩上がりの時代はモノを作って活性化していく時代が続いた。ただ単純にモノを作るのではなく、必要になるものは必ず出てくる。モノを作ることでヒトづくりをして、コトにつながることが大事。お金の使い方で流れが変わってくる。

○人口の推計
2050年には1960年と同じ人口になる。右肩下がりになるが、違う考え方でモノづくりをしていかなければならない。

○社会の状況や価値観が変わっていく中で、世の中が翻弄されている…
校歌は大体すばらしいことを言っているということで・・・
高度経済成長期の価値観の例を川崎市臨港3区の校歌を例に。

○岩見沢駅舎のデザインコンペで、要項に書いてあった「変わらない価値」という一文に答えた!
1.岩見沢駅舎が2000年12月10日未明に焼失した。まちに元気がない、活気がない、シャッター通りという風景が現実だった。

コンセプトは駅からまちづくりへ。

2.デザインする上で配慮した点
・ブリッジを作り中心市街地とまちとの行き来をしやすく設計した。
・夜になると煉瓦の色が浮き出てくるように暖かみが出るように設計。
・改札を出ると自由通路で人やイベントがやっているように見せて、活気があるように感じてもらう。
・自分たちのまちを自らに振り返ってもらえるように、ファサードから見渡せるようなデザインに。「この街に元気がないな・・・」と、より住民の人たちにリアリティを持ってもらうような仕掛けを仕込ませた。

○ひとつのレンガが、まちをつくる。
1.建築の域を越えて未来へ繋ぐ。

岩見沢レンガプロジェクト「らぶりっく!いわみざわ」

2.1個1500円で、名前と出身地、メッセージが刻印されたレンガを全長約137mの壁に敷き詰めた!申し込んだ人はいつかは探しに来るのではないか?という発想が大事。自分のレンガを探すのも楽しみの一つになる。そのプロセスの中で、いろんな人のレンガをみてもらいストーリーを体感してもらう。(東京やカリフォルニアも応募があった)
最初は市民に申し込んでもらって、あとは世界からウェブで申し込みを受け付けた。申し込みをするとレンガが積みあがっていく。最終的には4,777個のレンガが集まった。なお、すべてのお金をレンガに使っているわけではなく、維持費などにも費用を回した。他に収益を上げていく。それを原資にまちづくりが進行していく。

3.その他、クリスマスツリー企画やオーナメントづくりなどを通して、JC、教育大などが一体に。一つのきっかけで皆がつながり大きなプロジェクトへ変化した。

4.大事なことは設計者がやらないこと。市民の人に考えながらやってもらうことが大事。

○具体的に発生した「コト」
・レンガを見に来るときはJRを使ってくる。まちが動き始めた。
・自分たちのものとして駅舎を勝手に使い始める。スケッチをする人、お弁当を食べる人など。おじいちゃんと孫が散歩をする。
・教育大の学生のサテライトキャンパス。
・自由通路で結婚式!100mのプラレール。など
・駅舎隣の建物で鉄オタとして有名な向山実のコンサートも!?

○レンガのプロジェクトを実施して起きた現象
建築に対する思いを市民が引き継いでプロジェクトを継続してくれている。大きなコトを起こし続けている。

○デザインがまちを変える!
姿とかだけじゃなく、人が動いたりすることも含めてデザイン。

○佐賀から「まちを何とかしてほしい。」という依頼が来た!
1.中心市街地が駐車場だらけだったのと、イベントをやっているだけという状態。何か仕込ませることを提案した。

2.具体的な内容
・ただ単に区画整理をしてビルを誘致しても、最初はいいかもしれないけれどまた同じ。
・駐車場として空くのではなく、空きの価値を考えてデザインする。
・駐車場を公園ではない原っぱにする。ドラえもんの空き地のような・・・
・市民が自由な発想で作っていいというルール。

その結果・・・安心して子どもを遊ばせられる、居住できるのではないか、お店を出してみたいと思える雰囲気を醸し出すことができる。佐賀の人間は歩かないというのは嘘!歩くのすら楽しければ誰もが歩く。

○佐賀のわいわい!! コンテナ
街なかに賑わいを取り戻すための取組み。図書館、交流の場、市民のみんなのチャレンジの場として活用しているコンテナ。それを置いた原っぱの芝生も子どもたちにやってもらう。そうすることで、自分たちのまちを大事にする。

マチの基礎体力をつける。それが持続するように回遊性を重視。駐車場の位置もその点で重要、適度な遠さがあると歩く。遠すぎてはいけない。

○中心市街地活性化の結論
安心して歩いて楽しめる街へ

車とのつきあい方

住みたい街へ

街なかの商業再生へ

行きたいと思える目的を作る。時間を消費する、なんか行きたいなと思える仕掛けを原っぱに。ルーズさを与えることで市民の人が商店街に来るアイディアの自走力が生まれる。自発的に市民のいろんな人が関わっていく仕組みづくりを!

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次はstudio-L代表の山崎亮さんがコミュニティデザインの視点から講演されました。

○公共空間をつかいこなす人たち
勢いがある大坂のおばちゃんからヒントを得た!

銀行のシャッターが15時に降りると、ヤクルトの店を勝手におばちゃんが開く。そうすると高齢者や障害者が勝手に集まってくる。

おばちゃんが、彼らの外出する機会を作っている。ヤクルトは正直売れない・・・が、まちにこういう人がいることで街にいきたいと思える。(銀行の前の段差を逆利用。終わった後は清掃をしている。)

しかし、銀行はブティックになってしまい・・・店を移動せざるを得なくなった。自動販売機と自動販売機の隙間に座ってヤクルトを売っている。自動販売機、手動販売機、自動販売機w

空間の読み取り能力はとても高い。自己流にアレンジ!

○人がまちに出てくることの大切さ
ほぼ日常的に何かやっている雰囲気が大事。

有馬富士公園の例(兵庫県三田市)
勝手に使っていいよという敷地を与える。

人がまちに出てくることは求引力がある。公園が人を楽しくさせていく。

周囲で活動している市民活動団体の人たちに公園の中で活動をしてもらう。

会話が生まれる。行くと毎日違うことをやっているので楽しみにつながる。活動団体が増えて行った。あわせて、NPO団体の活動も自然と増えて行った。

マルヤガーデンズ(鹿児島市)
・NPOやサークルなどがショップ(雑貨や喫茶店など)を出店してもらう。ネットでモノを買う時代になってきているので、ローカルな人にターゲットを絞って集客する。日替わりでいろんなことをやることでデパートにも集客する。市民活動団体が市民活動団体を呼んでいく。コミュニティの団体数を増やしていく。

延岡駅前周辺プロジェクト
有馬富士公園でやったことを当てはめて実施。野球場15個分。人口は13万人。
市民参加のまちづくりワークショップで60団体。
市民発の駅空間を使いこなす社会実験(小さな成功を重ねる!)
市民の目にはいろんな人が自然に出入りしているように見えるようになる。

その結果、将来盛り上がることが目に見えている人が不動産を賃貸する人も増える。カフェなど。

○佐賀の四核構想とは?
駐車場を外に置いて回遊性を持たせる。モノだけ先行して作るのではなく、人がどのように動いてコトがどのようなことが起こるかをイメージしながらデザインする。

○佐賀の中で求められていること
「きっかけ」づくり

「場」づくり

「仕組み」づくり

○「よか」活動
余暇と労働とのバランスが大事。
まちなかに、「あっ!何やってるんだろう?」という雰囲気を作ること。

やってる本人たちが楽しくなければいけない。ボランティアだけでは疲れてくる。ヤクルトおばちゃんのようになんとなく楽しくなってくることが大事。

○コミュニティデザインに何ができるのか?
自分にとってのよか活動ではなく、まちにとってよか活動は何か?
まずは楽しいこと。私たちが楽しいこと。実現可能な範囲でできることでなくてはいけない。

趣味が地域が求めていることになって感謝されるようになって楽しくなってくる。

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最後は函館のまちなかの賑わいづくりを考えるというタイトルで「パネルディスカッション」。会場からの質問票をもとに、未来大学の木村健一教授とまちセンセンター長の丸藤競さんを加えて開始!

木村
まちの中でいろんな活動や人がいるんだけれど・・・
元気がない、という声があるのはどうしてだろう?

西村
3つがうまく組み合わさらないとうまくいかない。ソフトとハードが組み合わさること。お互いがバラバラにやっているから効果が出ない。ごちゃごちゃにしちゃうほうがよい。

山崎
佐賀もそういう印象だった・・・お互いはあまり情報交換していない。知ってはいるけれど、交流していない。逆にけん制し合っている。何かきっかけがないと一緒にやろうということにはならない。やろうぜ!という言いだしっぺとその調整。それをまぜていくことが私たちの役割。

丸藤
文句は言うが何もしない人。まちづくりに関心がない人にはどのようにその大切さを伝えて行けばいいのか?

山崎
要望型ではなく提案型にする。言ったからにはやってもらう。

西村
ハードをつくるひとは批判されることが多い。納得しない人はどのようにしても説得できない。賛成してくれる人を大切にする。お互いに未来のことを考えようという雰囲気を作る。無理して反対の人は連れて行かないで積み上げていくべき。

丸藤
無理をしてボロボロになって辞めてしまう人が多い。よいチームワークとは?

山崎
企業でもよくいます。必ず市民の人たちと話し合うきっかけをつくる。あの人がやるからと言って、一人になってしまうことはある。

西村
あまりそういうことはなかった。それぞれが役割を決めて分担する。達成感をどのように作っていくかも大事。

丸藤
函館の印象は?

西村
函館はめぐまれている。ただし懸念するのは、まちの中にあるそれぞれの戦略がかみあっていない。どこかをあきらめなければならないことはある。駅前エリアすべてを元気にするのは無理がある。ここはこういう風にして、ここを駐車場にするといった妥協の戦略すらない。その体制づくりをしては?

山崎
ハードとソフトを一体化させること。平面上に表現すること。だれがどうやるのか?それを戦略的に市がやるという位置づけはとても大事。

西村
バラバラに商業があるのが効果が薄い。商業集積を作ること。どこに出していいのか、出店者がわからない。。。

山崎
その地域の人たちが現状をちゃんと理解すること。計画づくりのところから、市民と共有することで、それぞれの人ができることが見えてくる。

丸藤
空き地のマネージメント。原っぱにするにあたっての了承をどうとるか?

山崎
コンテナは工務店から行政へリースで貸している。固定資産税を払うために駐車場にしているのが現状なので、民間の駐車場の利用権を交換することでスペースを集約。固定資産税を減免するなどの工夫。その状況に答えてあげることで空き地をマネージメントする。

丸藤
まちに行ったときに、最初にどこに目を向けていますか?

山崎
依頼されている内容に則したものに目を向けるが、あえて言えば人口数に目を向ける。ヒアリングだけでは同じ人しか来ない。紹介された人に3人紹介してもらうとか。その人が働いたり、住んでいる場所に行って話をすることで話の引き出しになる。白い会議室はNG、話を引き出せない。ワークショップをするときは個人連絡をPRしていく。

丸藤
なかなか参加者が集まらない。どうやったらたくさんの人を巻き込むことができるのか?

木村
ラブリックとかわいわいとか、言葉の力、どのように生み出しているかその秘訣は?

西村
わいわいはもっとかっこいい名前の方が良いという声があったが・・・わかりやすくないと、子どもやお年寄りが覚えられない。略して言えるような言葉。次第に「わいわい」が「わくわく」に変化していったw それぐらい気軽にいえることば。クスッと笑われるくらいがちょうどいい。

山崎
あまり横文字は使わない。チラシのデザインも気を付ける。チラシだけでは限界がある。友達になっただけではなく、直接声をかける。まちづくりに参加しなさそうなヒトに積極的に声をかける。いままで来なかった層へのアプローチ方法が大事。

丸藤
すごい誘い上手ですね!

木村
いままでまちづくりに参加してこなかった人たちと仲良くなる秘訣は?

西村
関西は何も動いてくれないのが基本。儲かると分かったときにものすごい動く。地方都市によって付き合い方が違う。自分の価値観だけに当てはめないこと。理解してあげたことで自分の意見を言う。

山崎
自分たちのことではないと思っている人と、うまく利用しあえるような橋渡しをしてあげることが大事。否定はしない。「いや~」から入らないw 「いいですね!」から入ることでその人が言いたかった本質が出てくることも!出てくるまで肯定し続ける。ジャズや舞台と同じで、前の人を肯定的に受け入れること。携帯の予測変換のように、20個くらい着地点をあらかじめ持つ。プロジェクトデザインを高めるために、参加した人から引き出して着地点に結びつける。

木村
出来上がりのイメージを持っていることがデザイナーの仕事。そのプロセスの難しさはワークショップで考えるのがよいのか?

西村
ほとんどやったことがない。身体を動かす。体育会系のプロジェクトを作る。岩見沢の場合は、俺たちがやったという雰囲気を出した。自分の関わった仕事が何のためにあるのか?「まちのためにある」と思うようになった。おじさんの考えたことが、具現化したらおじさんもうれしい。基本はみんなまちを元気にしたいと思っている。原点にもどることも大事。

丸藤
最後にお一言ずつお願いします。

山崎
専門家が何をする仕事なのか?昨今、考え方が変わってきている。まちづくりを実現させることで市民が満足する。次第に市民が入ってきてもらい、専門家がフェードアウトしていった方がよいまちづくりになる。どこまで自分たちでやって、どこから市民にやってもらうか。その辺の按配をどう判断するか。自分が楽しい、うれしいと思えること、それが市民がまちにかかわる本質。

西村
いままでと同じやり方ではなく、限られたお金で何をやるのか。一番効率よくするためには、行政と市民が連携すること。お互いのことを信頼しあう。そこからスタートすることできっといいことが起こる。
グッドデザイン賞は、モノの姿や形がこれまで受賞していたが、プロセスが評価されて受賞することができた。(いままでと同じことでとれても大したことがない!)審査員のこれまでの価値観は変わってきたといえる。

西村さん、山崎さん、木村先生、丸藤さん、市役所の皆さんありがとうございました!

結局のところ・・・
まちづくりを成功させるためには「ひと(市民やNPO)」「もの(商業や経済活動)」「こと(恒常化された無理のない成果やイベント)」のどれか一つでも欠けたら成立しないということ。その橋渡しをいかにうまくやるか、まちづくりに携わることでどのように「楽しい」って思わせるか。それが持続する原動力になるということ。

市内の方へ!
後日、NCVの特別番組で放送されるそうです。お楽しみに!

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投稿者 sen59 : 2012年11月07日 23:15| 函館

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